イテマグループの積極投資
当社はこれまでの4年間をかけてイタリアのコルサーテ、スイスのツッフヴィル、中国の上海の各地に所在する生産工場で、リーン生産方式を基準として総合的な観点からの一貫化・最適化・近代化を推進してきました。
現在のイテマは当社の歴史の中で最も無駄が少なく合理的な体制になっています。これはCEOのカルロ・ロゴーラが就任した5年前に設定し強力に推進してきた、生産と社内物流体制を根本から見直すことを主としたビジョンの成果です。
このビジョンの下に、「リーン生産方式」の専任チームを編成して社内の生産と物流に関する全ての業務を徹底して再考し、非効率を極限まで排除することでお客様に直接のメリットが及ぶよう改善を進めてきました。
最終的な目標はお客様のニーズに的確にお応えする能力を高めることで、 激しく移り変わる市場のトレンドを機敏に捉えて迅速に対応するためリードタイムを短縮し、しかもサービスのレベルや製品品質を更に向上させ、コスト低減も図ることが必要でした。
この目標に至る道程は容易なものではありませんでしたが、今やイテマの世界3か所の生産拠点、イタリアのコルサーテ、スイスのツッフヴィル、中国の上海は何れもリーン生産方式の原則に完全準拠した世界トップレベルの旗艦工場になっています。
リーン生産方式導入プロジェクトで最初に着手したのは、イテマグループの主力工場であるコルサーテの、機械加工に始まり予備組立および最終組立ラインから品質管理に至る一連の工程全体でした。そして実績を確認した後に上海工場の組立ラインにもリーン生産方式を導入し、グループレベルでの統合化・標準化を推進しました。また、伝説的とも言えるユニークなプロジェクタイル織機にはその緯入れ技術を高く評価いただいているお客様が世界中におられ、スイスのツッフヴィルに立地する旧スルザーの工場で生産していますが、この拠点についても設備の近代化を実施しています。
全ての生産拠点で最初に着手したのは労働集約的な工程でした。自工程での能力を基準にした「押込み生産」を、次工程の必要量に応じて自工程の生産を行なう「後工程引取り生産」の方式に徐々に切替え、製造部門内のそれぞれの単一工程が真の付加価値を創り出し、ラインの単位時間当たりの生産量であるスループットを大幅に向上させることを目標としました。
この目標を達成するには社内外の物流を徹底して再考する必要があり、生産部門のみならず物流や購買の部門も巻き込んだ改善活動として取り組みました。
改善はまず予備組立の工程から着手し、最終組立工程に広げてゆきました。特に重点を置いたのは下記の点です:
- 生産工程全体のストリーム価値マッピング
- 「5S」活動(日本語の整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字)
- 予備組立工程の小グループの配置換え
- カンバン方式の導入(必要なものを必要な時に必要な量だけ生産するJIT:ジャスト・イン・タイムを実現する在庫の管理手段)
- 予備組立工程に「1個流し生産」の概念を適用
- 「キット化」を見直し、作業現場への資材供給の流れを再構築
当社のリーン生産プロジェクトはリードタイム短縮、廃棄物の削減、生産性向上の全てに関して非常に高い目標を設定して推進されました。またこのプロジェクトと並行して、当社向けにカスタマイズされたCNC工作機械群を導入し、機動性・生産性・加工能力を大幅に向上させました。
これらの総合的な施策により、現有の各生産拠点の能力は2倍以上に高まり、益々高度化するイテマ社の織機生産に的確に対応し、短納期が実現されています。
しかし当社は現状に満足することなく、今後もお客様に持続的な利益をご提供できるよう引き続きリーン生産方式の概念を社業全般に適用して参ります。