巻頭言
テクニカルファブリックと業界
現在は世界中で年間に3千4百万トンのテクニカルファブリックが消費され、2027年までにはその量が5千7百万トンに達すると見込まれています。
テクニカルファブリックは作業着、スポーツ、レジャーなどのアパレル向けのみならず自動車産業や農業などの幅広い産業分野でも使用されていますが、機能性や性能、耐久性に対する要求水準がますます高まり、2022年までは平均で年率6.4%の成長を遂げると予測されています。先進国でも発展途上国でも、健康・安全・環境に関する規制がますます厳しさを増していますが、それらと関係の深いテクニカルファブリックにはこの傾向は追い風と考えられます。
この分野では、低価格品を大量生産する能力ではなく顧客のニーズに沿ったソリューションを提供できる能力が切り札であり、カスタムメイドのファブリックの高い収益性に注目が集まっています。
カスタムメイドの生産で中心的な役割を果たすのが製織工程です。製織は現在でも最も高度な柔軟性と利便性を有し、高い付加価値をもたらす技術です。製織であれば広範な種類の素材で密度も自在に設定可能なため可能性に限界がなく、生産品の切替も最小のコストで実行できます。
テクニカルファブリックは次の12種類に分類できます:
農業資材(アグロテック) | |
建築資材(ビルドテック) | |
機能性アパレル素材(クロステック) | |
土木資材(ジオテック) | |
カーテン等の家庭用素材(ホームテック) | |
フィルターなどの産業用途(インデュテック) | |
ヘルスケア素材(メドテック) | |
輸送機器資材(モビルテック) | |
環境保全資材(エコテック) | |
梱包資材(パックテック) | |
防護用素材(プロテック) | |
スポーツウエア素材(スポーテック) |
特にモビルテックとビルドテックは下記の理由で需要が急速に伸びています:
- 自動車産業とそのインフラが大きな成長を示している。
- 自動車と建築で軽量化と高機能化に対処するためファブリックの使用量が増加している。
モビルテックではエアバッグ、エンジンオイルのフィルター、高速列車の連結部の幌などが注目の分野です。またビルドテックの例では、道路や空港、地下鉄のトンネルなどで異質のセメントを分離する役割を果たしています。
進化を続けるテクニカルファブリックはエコテック、ジオテック、スポーテックの分野で2020年まで連続して非常に高い成長率を維持してゆくことが確実です。
エコテックは環境保全や資源のリサイクルに使用されるテクニカルファブリックで、持続可能な開発が注目される現在では世界的に追風が吹いています。エコテックの生産は継続して伸長し、2020年までには世界の売上が40億ドルに達すると見込まれています。
道路建設や舗装、鉄道線路の土台安定、斜面の保全などに使用されるジオテックは2020年まで年率6%に近い成長が期待されています。
スポーテックも急成長している分野で、人工芝、釣竿、ゴルフクラブ、パラシュート生地など多彩な用途に使用されています。この分野の年間成長率は2020年まで5.5%と予想されています。
アジア太平洋地域はテクニカルファブリックの生産と消費の両面で世界最大の市場であり、イテマはこの地域の国々に多数の織機を毎年継続して納入しています。主な適用分野はコーティングファブリックやフィルターファブリック、および自動車用資材です。
アジア太平洋地域以外ではドイツ、米国、イタリア、ロシアがテクニカルファブリック生産の重要拠点国ですが、イテマはこれらの国々で1位または高位の市場占有率を有しています。
テクニカルファブリックは今後も大きな可能性が持続する期待の分野ですが、その生産設備のメーカーにはますます高度化する市場の要求を充足し続ける実力が求められます。イテマは織機製造のパイオニアとして常に未来を見据えた経営姿勢で積極的に開発を推進し、テクニカルファブリックの生産に十分な実力を発揮できるソリューションをお届けしています。Red Dot Newsの今季号では、イテマのテクニカルファブリック分野での様々な情報をお届けします。