テクノロジー
R95002:ウール、ウーステッド製織に威力を発揮
スーツ、ジャケット、コート、ドレス、ローデン、タータン、ツイードなどに多用されるウール生地はその通気性など固有の優れた特性によって服飾用生地の主役と言える存在です。また快適な着心地と保温性を併せ持つため夏冬を問わず使用される織物素材でもあります。
そして難燃性を有するため室内装飾にも最適です。
紡毛糸では多様な織物構造が可能で、デザイナーやスタイリストの創造性を最大限に広げることが可能です。
イテマはレピア織機でのウール織物の分野で長年に渡って業界をリードする存在です。ヨーロッパのウール織物発祥の地であるイタリア、ピエモンテ地区のビエラを拠点とするウールとカシミア織物で屈指のメーカーと長年に渡って緊密な連携を行ない、その過程で蓄積した膨大な技術とノウハウがイテマの織機に生かされています。これは、Loro Piana社をはじめ、Lanificio Zignone 社、Lanificio Drago社、Lanificio Angelico社など多数のお客様との協力関係の成果です。
イテマのレピア織機R9500は2012年の発売以来、市場で高く評価されていますが、第2世代であるR95002はその多機能性、性能、使い易さをさらに高めた最新鋭マシンで、ウール製織の分野でも傑出した能力を発揮します。
ウール製織でのR95002の主な利点は下記の通りです:
多機能性:FPA緯入れシステム(Free Positive Approach)
FPA緯入れシステム(Free Positive Approach)は積極緯入れの多機能性と高性能・高効率を両立させた画期的なシステムです。カシミアやシルクなどのデリケートな糸、極細番手から太番手までの広範な番手の糸、シェニール織、ラメ糸、ループヤーンなどにも的確に対応して複雑な織物を効率的に織り上げ、織物デザインの可能性を大きく広げます。開口内にレピアのガイド部材が無いレースボード方式を採用したFPAは消極レピアの高性能をフルに生かしながら積極動作の多機能性と精度を実現したシステムで、最高度にデリケートな糸も丁寧に取り扱います。FPAは洗練された精巧な織物に最適の緯入れ方式です。
ウール織物には無数のスタイルが有り、そのいずれもが短期間で別のスタイルに置き換わる典型的な多品種少量生産です。フックを使用しないFPAはスタイルチェンジが短時間で容易に完了するため、ウール織物の生産に大きな威力を発揮します。
織物品質:イテマ独自の開口形状
イテマ製レピア織機の織物品質の高さは世界中で定評があり、織機業界をリードする存在です。イテマ独自の開口形状は市場で最小の開口量を実現し、特許のレピアは広範な種類の糸、パターンを容易に、高効率で、そして最高の品質で織り上げます。この実力が認められてR95002は高度で複雑なウール織物を生産する世界中のお客様に採用されています。
ユーザーフレンドリー:クイックスタイルチェンジと容易なマシン設定
R95002は製織工程の合理化と高度化を目標として設計されています。特に高級ファッション素材の製織では多品種少量生産が必要なためスタイルチェンジが頻繁に行われ、織機の使い易さがキーポイントになりますが、R95002は下記のような特性によって迅速で効率的なスタイルチェンジを可能にしています:
- 迅速なワープビーム解除:駆動ギヤを取外すことなく1本のレバー操作でビームと織機の連結を解除できます。
- 綜絖枠駆動機構の迅速な連結・解除
- 簡潔な非対称織幅縮小:緯糸セレクターを移動せず、右側のみの調整で織幅を縮小できます。
- 人間工学に基づくFPAレピアオープナー調整:工具を必要とせず数ステップの簡単な作業でオープナーの調整が完了します。
- 低いフロントフレーム:日常の作業で必要な部分に手が届き易いようにフロントフレームの高さを低く設定しています。
さらに、最新世代のタッチスクリーンを備えたコンソールには、簡潔で分かりやすい表示のユーザーインターフェースが組み込まれ、織機の主要な設定値をオペレーターとの対話形式で簡単に設定できます。
ウールの製織では次のような理由でエアタッカーが多用されます:
- 装置が小型のため端部まで織物に目が届き、品質確保が容易
- 耳形成装置による織機の運転速度の制限がない
- 機械式タッキング装置と比べて保守に手がかからず、ユーザーフレンドリーである
- 作動状態をコンソールから直接設定でき、調整が容易
完璧な織物品質と最高の多機能性、そして使い易さを追求されるお客様にとってR95002は理想的な製織設備です。